書くことは、好きでした。
洋裁を仕事にするかたわら、
趣味として文章講座にも通い、
それなりに勉強してきたつもりでした。

でも、大学での学びは、それまでとはまったく違ったのです。
ただ「思い」を重ねるだけでは、通用しない。
そのことを、痛いほど思い知らされました。
一時は、何も書けなくなりました。
正確に言えば、何も感じられなくなってしまったのです。
感じたままを言葉にすることが、怖くてたまらない。
どうしていいか分からず、ただ途方に暮れていました。

それからは、書くことを「分解」して考えるようになりました。
感情に任せて言葉を連ねるのではなく、
構造としてどう成り立っているのかを考える。
少しずつ前に進んでは、また一歩戻る。
そんな試行錯誤を、何度も繰り返していました。

けれど――。
ふと気づけば、私はもう、もとの場所にはいませんでした。
戻るというより、どこか別の方向へ踏み出してしまったような感覚です。
かつての自分の文章が、どこか幼く、拙いものに見える。
それは、壁を一つ乗り越えて、
別の場所へたどり着いた証のようにも思えました。

しかし、それで終わりではありません。
結局、私はまた迷っています。
もしかしたら「書く」ということは、
ずっと迷い続けることそのものなのかもしれません。

気づけば、いつも悩んでいました。
その迷い悩んだ時間さえも、 すべてこの本の中に残しています。

つづく♪
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