縫う前に知っておきたい!洋裁に欠かせないアイロンの話

アイロン アイロン

洋裁で忘れてはいけない工程のひとつ、それが「アイロンがけ」
仕上げの見た目がグッと良くなるだけでなく、縫いやすさにも直結する大切なステップです。

この記事では、アイロンがけの基本から、素材別の注意点、
おすすめの道具まで、わかりやすく解説します。

ブタアイロン

アイロンとは?

アイロンは、布のしわを伸ばしたり、形を整えたりする道具です。

たとえば、洗濯でしわになったシャツをきれいに整えるときなどに使います。

アイロンにはさまざまな種類があり、値段も幅広いため、
どれを選べばよいか迷うこともあるでしょう。

洋裁で使う場合は、以下のようなポイントを押さえるのがおすすめです。

  • ある程度の重さがあること
  • スチームがしっかり出る(水を入れて使えるタイプ
  • 見た目が好みで気分が上がるもの

先端で細かい方向を決めながら、スチームの噴き出し口から蒸気を出し、しわを浮かせていきます。
そして、下の広い面でしっかり押さえながら仕上げていく、というのが基本的な使い方です。

アイロン
ブタ焦る

なぜアイロンがけが大切なの?

アイロンをかけることで、

  • 縫い目が安定し、布がずれにくくなる
  • 仕上がりがパリッときれいに見える
  • 生地のクセやゆがみを整えられる
    といった効果があります。

「縫ってからアイロン」ではなく、「縫いながらアイロン」を意識することで、

全体の完成度がグッと高まりますよ。

アイロン
ブタ先生

素材別・温度と扱いのポイント

代表的な素材ごとに「適した温度の目安」と「扱いのポイント」をまとめました。
どの素材も、まずは目立たない端で試しがけするのが基本です。


綿(コットン)

  • 高温(180~200℃)が基本。スチームもたっぷり使える。
  • しっかりシワが取れるが、焦げやテカリには注意。
  • あて布なしでもOKなことが多いが、濃色やプリント生地にはあて布を。

麻(リネン)

  • 高温(180~210℃)で、しっかりスチームを当てる。
  • シワがつきやすいが、しっかり熱をかけるときれいに仕上がる。
  • やや硬めの素材のため、強めのプレスでもOK。霧吹き併用も効果的

ポリエステル

  • 低温~中温(120~140℃)が基本。高温だと溶ける恐れあり。
  • 必ずあて布を使用する。直接アイロンを当てない。
  • スチームは軽めに。シワが伸びにくいときは少しずつ様子を見る。

ウール

  • 中温(140~160℃)が適温。高温NG。
  • 必ずあて布を使用し、浮かしアイロンやスチーム中心で。
  • 強く押さえるとテカリが出るため、軽く押さえるか浮かせて当てる。

シルク(絹)

  • 低温(100~120℃)で、必ずあて布を使用。
  • スチームは基本的に使わず、乾いた状態で優しくかける。
  • 光沢を守るため、表側にアイロンを直接当てない。裏からかけるのが基本。

レーヨン・キュプラなど再生繊維

  • 低温(110~130℃)が目安。あて布必須。
  • 水に弱く、濡れた状態でのプレスは避ける。
  • シワになりやすく、繊細な素材なので扱いに注意。

素材ごとの特徴を知っておくと、アイロンがけの失敗がぐっと減ります。生地の表示タグがある場合は、そちらも忘れずチェックしましょう。

アイロン
ぶたばんざい

縫い目は「割る」か「片倒し」に

縫い代を割るアイロンのかけ方

縫い代を左右に開いてアイロンをかけることで、
布の厚みが均等になり、表にひびきにくくなります。

上布と下布を縫い合わせた状態の布を使います。
まずは、縫い目の上から軽くアイロンをかけて、クセをつけておきましょう。

次に、縫い代を左右に開き、アイロンの先端を縫い目に乗せてかけ始めます。
スチームを加えながら、少しだけ圧力をかけていきます。

ここで大切なのは、力いっぱい押しつけるのではなく、
アイロンを布の上で滑らせるイメージを持つことです。

「圧力」と「滑らせる」は一見反対のように感じるかもしれませんが、
布の種類によって使い分けが必要です。

適度に圧をかけたり、少し浮かせたりしながら、様子を見て調整します。

また、アイロンは布の端までしっかりとかけきることが大切です。
先端が布の最後にさしかかったところで止めてしまわないように気をつけましょう。

最後までしっかりかけてこそ、きれいに仕上がります。

アイロン

縫い代を片側に倒すアイロンのかけ方

縫い代を片側にまとめて倒す方法を「片倒し」といいます。

主に、縫い代の厚みを片側に寄せることで仕上がりがきれいになる場合や、
デザインや縫い方の都合で使われます。

まず、上布と下布を縫い合わせた状態で、縫い目の上から軽くアイロンをかけてクセづけをします。

次に、縫い代を指定された方向(たとえば、上布側や下布側)に倒します。
倒したら、その上からアイロンの先端を使ってかけていきましょう。

スチームを適度に加えながら、軽く圧力をかけてなじませていきます。
ここでも、力を入れすぎず、布の上をそっと滑らせるような感覚が大切です。

縫い代の先までしっかりとアイロンが通るように気をつけましょう。
途中で止めてしまうと、折り目が甘くなってしまいます。

「倒す方向」「最後までかけきる」この2点を意識することで、仕上がりがぐんと美しくなります。

アイロン
アイロン

プレス時は、ゴシゴシこすらず「押さえて離す」が基本。

スチームアイロンを使うときは、水滴が落ちないよう注意!

ぶたロール

よくあるトラブルと対策

アイロンがけでよくあるトラブルとその対策

アイロンを使い慣れていないと、思わぬトラブルが起きることもあります。
ここでは、よくある失敗例と、その原因・予防策をご紹介します。

アイロン

生地がテカってしまう
原因: 高温すぎる設定や、強く押しつけすぎることが原因です。
特にウールやポリエステルなどの化繊で起こりやすいです。
対策: あて布を使う、温度を下げる、スチームメインで仕上げるなどの工夫をしましょう。

シワが取れない/シワが残る
原因: アイロンの温度が足りない、スチームが不足している、
または布が乾きすぎていることが考えられます。
対策: スチームをしっかり当てる、水スプレーで湿らせてからかけるなどが効果的です。

逆にシワがついてしまう
原因: 布をきちんと整えないままかけたり、動かしてしまったりすることによって、
余計な折れがつくことがあります。
対策: 布目を整えてからかけること、かけたあとすぐ動かさず、
冷めるまでそのままにしておくことが大切です。

プレスが均一でなく、きれいに仕上がらない
原因: アイロンのかけ方にムラがある、途中で止めてしまう、
力の入れ方が偏っているなどのケースです。
対策: 先端からかけ始め、布の端までしっかり通すこと。
リズムよく、同じ速さで動かすようにしましょう。

縫い代がうまく倒れない・割れない
原因: 厚手の生地や、アイロンの熱・スチーム不足などが原因です。
対策: スチームをたっぷり使い、場合によっては少し湿らせてからプレス。
木ベラや目打ちで補助するときれいに倒せます。

水がポタポタ落ちる(スチームトラブル)
原因: 水が多すぎる、温まる前にスチームを使った、アイロン内部の故障など。
対策: 適正量の水を入れ、十分に温めてから使うこと。
落ちた水はすぐ拭き取ってから再プレスを。

焦げてしまった/色が変わった
原因: 温度設定のミスが主な原因です。
対策: 必ず生地に合った温度に設定し、心配な場合はあて布を。
特に初めて使う生地は目立たないところでテストを。

どれも慣れてくれば防げるトラブルばかりですが、
最初のうちは「生地にやさしく」「丁寧に」を心がけるだけでもずいぶん違います。

道具に慣れ、布の性質を少しずつ理解していくことで、
仕上がりもどんどん美しくなっていきますよ。

ブタ決める

道具を使い分けると仕上がりアップ

洋裁や日常のアイロンがけで役立つおすすめの便利アイテムを、
用途やポイントとともに箇条書きでご紹介します。


アイロンマット

  • テーブルの上などに広げて使える、持ち運びに便利なマット
  • 場所を取らず、ちょっとした作業にぴったり。
    厚みがあると熱が逃げにくく、仕上がりもきれいに。

あて布

  • 生地を熱やテカリから守る必須アイテム。
  • 綿素材のものがおすすめ。薄手のハンカチなどでも代用可

仕上げ馬(袖まん/袖アイロン台)

  • 袖や細かい部分、カーブなどをきれいに仕上げられる専用台
  • ワンピースの脇下や子ども服にも活躍。あると作業の幅が広がります。

スプレーボトル(霧吹き)

  • 乾いた布に軽く水分を加えることで、スチーム効果を補えます。
  • しつこいシワや麻素材にも便利。

スチームアイロン(コードレス or コードあり)

  • パワフルなスチーム機能があると、シワ伸ばしや仕上げがぐっと楽に。
  • コードレスだと自由に動けて便利、長時間使うならコードありも選択肢。

アイロン定規(耐熱定規)

  • 折り返し幅を測りながらそのままアイロンがけできる便利な定規
  • 裾上げや三つ折りなど、正確さが求められる場面で活躍。

これらのアイテムを上手に取り入れることで、
作業効率が上がるだけでなく、仕上がりも見違えるようにきれいになります。

最初から全部そろえる必要はありませんが、
「これがあれば楽になるかも」と思うものから少しずつ取り入れてみるのがおすすめです。

道具に少しこだわるだけで、驚くほど作業がスムーズになりますよ。

ブタ道具

まとめ:アイロンがけは“縫う”の一部!

「洋裁=縫うこと」と思われがちですが、
実はアイロンがけも作品の完成度を大きく左右する大切な工程のひとつです。
縫い目を整えたり、形を美しく仕上げたりするためには、
丁寧なアイロンワークが欠かせません

最初は失敗してしまうこともあるかもしれませんが、
それも大切な経験です。
アイロンがけは、ちょっとしたひと手間を積み重ねる作業
その過程を楽しむ気持ちで取り組んでみてください。
布の変化を目で見て、手で感じながら仕上げていく時間は、
きっと洋裁の楽しさを深めてくれるはずです。

ブタロール

アイロン選びって、実は結構悩むんですよね・・・。

消費電力に立ち上がりの速さ、スチームの出方にデザインまで…
けっこう悩みます。

アイロン

でも結局のところ、「使っていて気分がいいかどうか」がいちばん大事かも (#^^#)

写真のアイロンは外国製で、よ~く見るとちょっと作りが雑…?
なんて思うところもありますが(笑)
程よい重さとレトロなフォルムがお気に入り。
見た目にときめく道具って、それだけでやる気がアップするんですよね。

お値段もそこそこでしたし、気づけばもう何年も相棒として活躍中。
たぶん私より働き者かも…なんて思ったりしてます(^^ゞ

アイロン選びの参考になればと思います(*^_^*)

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ではまた♪


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